総支配人 黒曜美咲【VIP素直クールスレより】 幕間

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転載元:https://ex15.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1150623849/

485: 総支配人 黒曜美咲1/8 2006/06/23(金) 00:29:44.87 ID:fdwKnykKO

「お疲れ様」
「ああ、お疲れ様」
午後9時、美咲さんと合流。

「よし、では今日は早速君の家に行かせてもらおう」
歩きだして数分もしないうちに、彼女は言った。
「来る?わかった」
やはりか。美咲さんのことだから条件揃い次第すぐ来るとは思ってたけど。
部屋を片付けておいて正解だったな。
「あ……本当に着てきてくれたんだ」
「ああ、これか?そうだ。君に見てみたいと言われたからな」
その日の美咲さんは、黒のロングボトムにネクタイ、それに革靴という完全メンズ仕様の服装をしていた。
……しかし、これがまたえらく似合っている。一見しても何の違和感も感じない程に。

「……かっこいい」
似合う、なんていうありふれた褒め言葉の次に浮かんだ言葉。
「そうかね?ありがとう、そう言われると着てきた甲斐もあるというものだ」
パンツを穿いているせいか、いつもより長く見える足を交互に出しながら美咲さんは言う。
「つーかまずよく出たよな、着ようって発想が」
「大学の入学式の時、妥当な服が見当たらなくてな。仕方なく父のスーツを借りて行ったら、妙に評判がよかった」

 

486: 総支配人 黒曜美咲2/8 2006/06/23(金) 00:30:38.30 ID:fdwKnykKO

「……もしかして、大学行ってる間もずっと?」
「ああ。いつもこんな格好で行っていたな」
うわ、すげぇ。見てみたかったな。
「俺は絶対出来ないな。スーツなんか堅苦しくて」
「私は楽だがな。わざわざ組み合わせを考える必要もないし、いざというときに格好もつく。礼服だからな」
「なるほど……」
そんな話に盛り上がりつつ、俺達は駅へと歩いていった。

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「とりあえずこれでも食べて待っていてくれ」
美咲さんを家に招き入れ、最初に出てきたのは卵焼きだった。
「それじゃ、いただきます」
ありがたく頂く。
……うん、やっぱりうまい。

「おいしい」
「ありがとう。他ももう少ししたら出来るから待っていてくれ。
……そうだ、余った材料は置いていくが、卵は君が買っておいてくれたまえ」
「ああ、そりゃいいけど……」
わざわざ作りに来てくれてるのに材料ぐらい用意しとくべき(もちろん今日の買い物は俺持ち)だとは思うが……

 

487: 総支配人 黒曜美咲3/8 2006/06/23(金) 00:31:58.17 ID:fdwKnykKO

「……何で卵だけ?」
当然の疑問だった。
「君に料理を出すときは、卵焼きを必ず作るからな。それぐらいは負担してもらおう」
「何で?修行?」
こないだの実家の話を思い出し、そんなことを聞いてみる。

「君が最初においしいと言ってくれた料理だからな。いつも食べてもらいたいんだ」
そして返ってきたのは、無表情の美咲さんが言うには少々忍びない、だが美咲さんらしい乙女チックな答えだった。
「そ、そうか……」
言われたこっちが恥ずかしくなり、照れ隠しに二個三個と連続で卵焼きを頬張る。
言われる前より、少しだけ甘くなっているような気がした。

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ご飯、完食。
豚と野菜炒め、完食。
卵焼き、完食。
わかめスープ、完食。

出来合いと言われると非常にハイレベルな夕食を堪能し、俺達はテレビを見ながらあれやこれやと話に花咲かせていた。

「……ところでさ、ちょっと面白い話があるんだけど」
「何だ?」

まだ少し残っているきんぴらをつまみながら、俺は話を切り出す。

「こないだ高井と話してたらさ……」
そして俺は、3日ほど前の高井とのやりとりを思い出していた。

 

488: 総支配人 黒曜美咲4/8 2006/06/23(金) 00:32:48.12 ID:fdwKnykKO

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いろいろあったデートの翌日。
出社してから何やかんやでずっとホテル内を走り回っていた俺は、昼の2時にもなってやっとこさ昼食休憩にありつき、社食のラーメンをすすっていた。

と。
『おはよー川島君。ここ、いい?』
「お、おぉ、高井か……座れよ」
隣に立ち、唐揚げ定食の乗ったトレーを持った高井が声をかけてきた。
『ありがと。ね、昨日は何してたの?』
俺の隣に座るなり、彼女は唐揚げなどそっちのけで聞いてきた。

……いきなり本題か。
まぁいい。対策は考えてある。それは……
「うるせー、お前には関係ねーよ。お前は浅谷と仲良くやってりゃいいだろが」
そう口早に言い放ち、ラーメンに視線を戻した。
そう、ただひたすらにはぐらかし、話を逸らす!
注意力散漫でしかも流されやすいこいつにはこれで十分だ。

ちなみに浅谷ってのは大学の時からの友達で、高井の彼氏でもある男だ。
いい女いないかとすがられて適当に高井を紹介したらえらく気に入り、高井も高井で紹介してくれてありがと、とか言い出す始末だったのだ。

 

489: 総支配人 黒曜美咲5/8 2006/06/23(金) 00:33:51.26 ID:fdwKnykKO

『だから、昨日は洋介君と来てたの。ね、何してたの?』
なんだそうだったのかよ。
しかし今日は妙にしつこいな……普段ならここらでノロケにでも入るところなんだが。
「だいたい何でそんなに知りたがるんだよ。さてはお前俺に惚れてるな」
こうなりゃ後は冗談で乗り切るくらいしか・・・

『私は川島君のこと、好きだよ?』

……全世界が、停止したかと思われた。
「お前な……男いるのにそういうこと平気で言うな」
ていうのはウソピョンで、停止したのは近くのテーブルに座ってる人達だったんだがな。
「ぅえ!?あ、違うよ!?そういう意味じゃなくて……』
自分の言った事の重大さに気付いたのか、顔を赤らめながら否定する高井。
ああ、周りの視線が痛い……
「お前、もうちょっと考えてもの言えな」
『うぅーー……そ、そんなことより!』
自分の痴態を振り払うかのように、語気を強めて(それでも弱いが)高井は話し始めた。
『今度、一緒に遊びにいかない?』
周囲の視線がさらに集中する。
……さっき言ったことをもう忘れている奴である。

 

490: 総支配人 黒曜美咲6/8 2006/06/23(金) 00:34:30.52 ID:fdwKnykKO

「何でお前と遊びにいかにゃならんのだ。行くなら浅谷と行け、浅谷と」
『えっと、そうじゃなくて……
私は洋介君連れてくるから、川島君は美咲ちゃん呼んできて……ってこと』
「そういう事か……しかし、いきなり何で」
『美咲ちゃんとも一緒に遊びたいな~って思って』
高井はなんとも単細胞なことをのたまった。
「それだけかよ!」
『いいの!ねえ、どう?行こうよ~』
こいつめ、平気で美咲ちゃんとか言ってくれやがって。
しかし……まぁ悪い話ではないよな。
それに……うん。美咲さんが友達増やすチャンスかもしれないし。
「……まぁ、今日明日にでも話してみるよ」
『よかったぁ!実はもう洋介君に言っちゃってるんだ』

「……事後承諾はヤメロ」
そんなわけで、ダブルデートに行くことになってしまった。

 

491: 総支配人 黒曜美咲7/8 2006/06/23(金) 00:35:20.56 ID:fdwKnykKO

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「……てな話でさ。どう?」
「ほう、それは実に興味深いな。しかし……私が行ってもいいのか」
「そんなこと気にしなくていいよ。だいたいあっちから誘ってきたんだし」
「……高井君の方から?」
美咲さんは意外そうに問う。
「? そうだけど」
「ふむ……よし、他ならぬ高井君の提案だ。受けさせてもらおう」
お、食いついた。
「それじゃ高井に言っとくわ。細かいことは決まってないっぽいから、また何かあったら言うよ」
「わかった」
「……あいつら付き合い長いし、慣れてるだろうから面白いとこ連れてってくれると思うよ」
「そうか。それは楽しみだな。まぁ私はこうして君と一緒にいるだけでも十分楽しいが」
「そう……そりゃ嬉しいねえ」
「それじゃあ、私はこれを片付けたら帰ろう」
そう告げ、皿をまとめ始める美咲さん。
「あ、いいよ。やっとくから」
「いいのか?」
「いいんだよ。俺んちだし」
「だが炊事場は私が」
「いいの。俺だってなんか手伝いたいんだよ」
言葉を遮りながら美咲さんの握っていた皿をひったくる。

 

492: 総支配人 黒曜美咲8/8 2006/06/23(金) 00:36:04.69 ID:fdwKnykKO

「さ、どうする?夜道は危ないし、帰るんなら早目にした方がいいんじゃないか?」
「問題ない。これより遅い時間に帰る事ぐらい慣れているからな」
「大丈夫か?送ろうか?」
「大丈夫だ。それじゃあ私はこれで」

そう言ってスタスタと玄関へと向かう美咲さん。
「なあ……本当に大丈夫か?気なんて使わなくていいぞ?近いんだし」
扉を開けて出ていこうとする美咲さんに、もう一度だけ俺は声をかけた。
「君はそんなに私のことが心配なのか?しょうがない男だな。ちょっと来たまえ」
美咲さんは困り顔で手招きした。
「あぁ……」
急いで適当な靴を履く。
「靴など履かなくていい。こっちを向きたまえ」
そう言われて前かがみになっていた上体を起こすと……

……なんと、また美咲さんが俺を抱きしめてきた。
顔を上げたところに突然抱きつかれたものだから、中腰のような半端な姿勢になってしまった。
そして目の前に見えるのはネクタイ。つまり今この顔に感じている感触は………
「んゎああ!!」
とんでもない事に気付き、急いで取り繕おう……
……とする前に、解放の時は案外早く訪れた。
いきなり顔を胸に埋めてくれた張本人は、
「今ので私は帰り道に対する不安は取り除かれた。
私が不安ではないのだから、君も不安になる必要はない。それじゃあな」
そう言い残し、颯爽と家の扉を出ていった。

……疲れた…………

 

 

 

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